この記事の登場人物
- 沖縄県知事選は9月13日投開票(告示8月27日)。同じ日に、うるま市と島尻・南城市では県議補選も行われます。
- この機会に、沖縄振興予算の推移を数字だけ確認しておきます。ピークの3,501億円から、いまは2,600億円台です。
- 本記事は賛否を述べるものではありません。候補者や政党にも触れません。事実と出典だけを並べます。
正直に書きます。
沖縄の予算や基地の話は、経済合理性だけで割り切れません。人によって優先度も感情も違いますし、ビジネスの現場では本音まで語れる話でもない。
だからこの記事では、立場を主張しません。候補者や政党にも一切触れません。ただ「沖縄振興予算がどう動いてきたか」という数字だけは、沖縄で仕事をする一人として、しっかり見ておきたい。何かを否定するためではなく、受け止めるために。
相棒のAIくんと、確かめていきます。
まず、日程の確認
沖縄県知事選挙は9月13日(日)投開票、告示は8月27日(木)です。あわせてうるま市選挙区と島尻・南城市選挙区では県議会議員補欠選挙も同じ日に行われます(告示は9月4日)(沖縄県公式)。
当日に予定がある方のために、期日前投票の制度も用意されています。詳しくはお住まいの市町村の選挙管理委員会でご確認ください。
振興予算は、実際に減っているのか
AIくん。まず事実から知りたいんだ。沖縄振興予算って、実際に減ってるの?体感じゃなくて、数字で。
減っているね。当初予算ベースの推移はこうだよ(参議院「立法と調査」)。平成26年度(2014)が3,501億円で過去最高。平成30年度から令和3年度までは3,010億円で横ばい。そして令和4年度(2022)に2,684億円と、初めて3,000億円を割ったんだ。
そこからは?
令和7年度が2,642億円、令和8年度が2,647億円だよ(内閣府)。ピークから約850億円、率にすると4分の1近く小さくなっている。
令和8年度は、ちょっと増えてるんだね。
うん。「10年ぶりの増額」ではあるけれど、県が求めていた3,000億円台には届いていないんだ(日本経済新聞)。増えたとはいえ、水準そのものは低いままだね。
なぜ減ったのか——「執行率」という説明
減った理由に「執行が追いついてない」って話が出てくるよね。実際、使い切れてないの?
順番に見ていこう。まず、県が自由に使える「一括交付金」の執行率は、たしかに高くなかった(参議院「立法と調査」2019年)。ソフト分で見ると、平成24年度が50.9%、平成29年度で79.3%。その間、翌年度への繰越が672〜851億円と多額だったんだ。
なるほど。使い切れていなかったのは事実なんだ。
そうだね。そして減額の「理由」も、時期によって説明が変わっている。「執行率の低さ」(平成27年度)→「不用額・繰越額の多さ」→「事業継続性に基づく積み上げ」という具合にね。
じゃあ「使い切れてないから減らす」は、筋が通ってるってこと?
一面ではそうだね。否定はしないよ。でも「なぜ使い切れないのか」を見ると、話は単純じゃないんだ。
研究では、執行率の低さは制度の設計そのものにも原因があると指摘されています(彦根論叢 No.415)。
- 予算先行方式 … 必要額を積み上げるのではなく、先に「3,000億円」という枠が決まり、後から自治体が事業を探す“逆向き”の構造
- 抽象的な交付要件 … 「沖縄の特殊性に基因する」という基準が曖昧で、認定に時間がかかる
- 交付決定の遅れ・単年度主義 … 用地取得や調整が年度内に終わらず、繰越になりやすい
……なるほどな。「県が怠けて使えなかった」というより、枠が先にあって、後から使い道を探す設計だから繰越が出やすい、と。
そういう面があるということだね。
「使えてないから減らす」って言われると反論しづらいけど、その“使いにくさ”自体が制度側の問題でもあるのか。ここは受け止めておきたいな。
基地問題との関係は、どう見るべきか
で、いちばんセンシティブなところ。基地問題との関係は?中央の圧力で減らされてる、って見方もあるよね。
ここはね、事実として断定はできないんだ。分かっているのは、次の3点だよ。
ひとつ。報道は、減額傾向を基地をめぐる国と県の対立という文脈で伝えている(日本経済新聞)。
ふたつ。一方で、政府が公式に挙げる減額理由は、あくまで執行状況や事業の必要性だよ。
みっつ。県側は減額に納得しておらず、概算要求の水準に「納得いかない」と表明している(日本経済新聞)。
「基地への姿勢が予算に反映されている」という見方はあるけれど、政府はその関連を認めていない。だから私からは、どちらが正しいとは言わないよ。両方の見方が存在する、という事実だけをお伝えするね。
それでいい。ここで白黒つけたいわけじゃないから。感情も政治的な対立も、人それぞれの優先度もある。僕はそれを否定しない。ただ、数字と、その数字に付く“理由の変遷”は、事実として知っておきたかったんだ。
うん。知っておく、というだけでも意味があると思うよ。
もうひとつの数字——一括交付金の比率
県が自主的に使える一括交付金は、金額そのものも、振興予算に占める割合も下がっています。ピーク時の平成26年度は1,759億円でしたが、令和7年度は721億円。振興予算に占める割合は平成25年度の53.7%から、令和7年度は27.3%と過去最低になりました(前掲・参議院2025年資料)。
なお「令和3年度まで毎年3,000億円台を確保する」という方針は、平成26年度予算の決定時に当時の首相が表明したものでしたが、令和4年度以降はその前提がなくなっています(同資料)。これが「ある時期から右肩下がり」に見える分岐点です。
まとめ
- 沖縄県知事選は9月13日投開票(告示8月27日)。うるま市・島尻南城市では県議補選も同日。
- 沖縄振興予算は、ピーク(2014年度 3,501億円)から約4分の1縮小し、2,600億円台が続いている。
- 減額理由には「執行率の低さ・繰越の多さ」が挙げられてきたが、その執行の伸びにくさは制度設計(予算先行方式)にも一因がある。
- 基地問題との関連は、報道の文脈としては語られるが、政府は公式には認めていない。諸説ある、が正確な言い方。
数字は、立場を選びません。まず数字を把握しておく——沖縄で商売をする端くれとして、それだけは続けたいと思っています。
投票については、どなたに入れるべきかを申し上げるつもりはありません。ただ、これから4年の県政を決める一票であることは確かです。お住まいの地域の情報を確認して、ご自身の判断で臨まれてください。
※本記事は2026年8月12日時点の情報です。予算額は当初予算ベースであり、決算・執行実績とは異なります。選挙の日程・投票方法については、お住まいの市町村の選挙管理委員会の案内を必ずご確認ください。



